記憶 ―夢幻の森―


そう叫ぶと急に立ち上がり、俺の膝から飛び降りる。

地面をうろうろ行ったり来たりしながら、必死な表情でハルカを見つめていた。

ショックが再び甦ったのか…?


「コン、静かに…」

俺はエマを起こすまいと、シッと自分の口元に指を立ててコンをなだめた。


『はわわ…。キース落ち着いてる場合じゃないんだってッ!!ハルカは眠ってる時、イシキを無くす時に「セイメイリョク」がいっぱい漏れちゃうんだよぉッ!!』

「――何っ!?」

確かに…、
昨夜の夕食の後、ハルカは小瓶の露を飲んでいた。

あれは、
「眠る前だから」だったのか!?


ワゥンッ!
『なんで気が付かないんだよ~!キースのバカぁ~!なんで忘れてたんだよぉ。俺のバカぁ~ッ!!』

俺もハルカのカバンから焦って露の入った小瓶を探す。
焦れば焦るほど、うまく探せずに心だけが騒ぐ。


「――…あった!」

小瓶を手に取ると、すぐさまハルカの元へと急いだ。


『きゃぁあぁぁ、ハルカぁ!』

「コン、落ち着けっ!これを飲ませればいいのか!?」

『…はぅ。』

コンは涙を溜めて、コクリと頷く。


ハルカは穏やかに寝息をたてていた。