記憶 ―夢幻の森―



『…ぅえっ…俺のせいでッ、…ハルカは「友達」出来なくなったんだぁ…!ぅ~…』

「違う…。違うよ、コン。」


多分…、
セイジさんやユリネさんは、
「コン」をわざわざハルカに孵させた。

ただでさえ、
生命力が放たれてしまうのなら…

ハルカに「友達」を…。
話し相手を…。

彼ら親たちの思いは、そうだったに違いないのだ。


『俺のせいだもん~ッ!』

「違うよ…。」


コンの言葉は、
ハルカにしか伝わらない。

しかし、
こんな事、当のハルカにコンが言えるはずがない。


最初に会った花畑で、
お前が俺に言いかけた事。


――俺、ずっとハルカしか言葉通じなかったから、少し嬉しいんだ…


聞いて欲しかったんだな。
一人、ため込んでたんだな?


「…お前は、本当に…友達思いの良い子だな…。」

『違うッ!悪い子なんだ。あの時だって、ハルカはッ、三日間も眠ったままで…それでママがカンビョウ……』

首を左右に勢い良くブンブンと振っていたコンが、ピタッと動きを止めた。


「…どうした?」

『ハ、ハルカ…眠ってる…』

……?
先程から、そうじゃないか。


『…はわわわ。きゃぁあぁぁッ!!どうしお~ッ!?』