2・知らない世界



「……ぅあっ…!」

俺は仰向けにひっくり返った。
地面に強く背中を打ち、鈍い痛みが走る。

しかし、
痛みに構っている暇はない。


「…ここは…、どこなんだ…?」

俺は空を仰いで呟いた。

青々と生い茂る木々。
白く霞む霧の向こうで、
木々の合間からは暗闇が覗く。
白い惑星が輝いていた。


「…あれは、月なのか…?」

――いや…、違った。

風が木々を揺らし、見え隠れする球体が現れた。

白い惑星は、夜空に2つ。
月ほどに見える星と、少し離れて倍ほどある大きめの星…。


「……嘘だろ…?」

どこなんだ、ここは…

最初に見た光景が、これだ。
もう俺の常識外。
何が起こっても驚かないようにしよう、冷静にそう思えた。


ホゥ…ホゥ…と鳥が鳴く。
ざわざわと風に吹かれた木々が揺れる。

揺れる木々からは、
緑色の光が降ってくる。


「……綺麗な所だな…。」

俺は体を起こした。


視界に入った足元の草も同様に。
その先に咲く花たちも、それぞれの色の光をやわらかに放つ。


まさに、幻想的。

砂漠の我が故郷が
『金色の世界』ならば、

ここは、
『深緑色の世界』――