「…コンちゃんは、ご飯食べるの…?」

ワン…
『…うぅぅ~。ヤクビョウガミのくせに、セイメイリョクも…、ご飯まで食べるのかって…』

コンはそう鳴き続けた。


ワゥ…
『…どこまでハルカにメイワクな子なんだって…、うぅ。エマが苛めるぅ…わぁぁん。』

「…いや、そこまでは言ってないぞ?」

俺は呆れながら、よしよし…とカバンの布の上からコンを撫でた。


ワゥゥ…
『…だって!俺がご飯いっっぱい食べればッ…、ハルカのセイメイリョクは…少しだけで済むんじゃないかって思っ…、ひっく…。』


そうか…。
それで、食いしん坊を装おっていたわけだ。

しかし、
現実はそう甘くはない。


「…コン。じゃあ、沢山ご飯食べなきゃな?ハルカを守れないだろ?」

ほらカバンから出て、と俺は優しく問い掛ける。

エマは変わらず首を傾げていたが、俺の言葉からコンの気持ちを察してか、それ以上は何も言わなかった。


コンはカバンの中で一周し、その潤んだ瞳を覗かせて俺に言う。


ゥワン…
『…俺が…、な、泣いてた事は、ハルカに言うな…?』

「ははっ…言わないよ。」