俺の想い出の詰まった…
砂避けのローブ。

その白い裾を破って、ハルカに使用した。

もう、「砂避け」のローブは必要ない。

そう…
「必要」では、いけない…。


ハルカたちとはぐれ、必死になっていた為に気にもしなかったが…、

湖から水脈を通じて来たにも関わらず、俺たちは少しも濡れてはいなかった。

あの湖の精霊の配慮だろうか…



「…これから、何があるか分からない。先に、腹ごしらえしておくか…」

俺はハルカを見つめながら、そう言った。


「…そうね、ハルカちゃんには悪いけど。先にいただいちゃいましょうか…。」

「あぁ。コン、カバンから出ろ…。食料も、お前のご飯もそのカバンの中だ。」

相変わらず、カバンに頭を突っ込んだままのコンの尻尾を掴む。

反射的に、ビクンとコンは体を震わせた。


「……?コンちゃんの、ご飯…?」

エマが自分の荷物を探りながらも、不思議そうにそう聞いた。


「…?あぁ。」

「…普通、犬竜は主の生命力を糧にするから、ご飯は…食べないはずよ…?」

「え…?」

しかし…
コンはご飯には目がなくて、いつもガツガツと食べている様が印象的なのだが…。