「…良い子だよ。コンのおかげで、皆助かったんだ。…怪我は?ないか?」

『…ぅん…、ヘーキ。』

ひっく、ひっく…
と、尻尾を丸めて涙を滲ませる。



――辛い思いをさせて、ごめんね…。

ハルカが気を失う前に、そう言っていた事を思い出す。

ハルカとコンは、
お互いに、お互いを思い合っているんだな…。


コンはハルカを、
ハルカはコンを、

大好きなのに、な…?


ハルカの少ない生命力を喰らって生きている、悪い生き物なんだ、と…。
毎日、自分を責めていたのか?

それでも…、

そうでしか、傍にいられない。


辛いな…?コン。



「…おいで?コン…」

俺がそう手を伸ばすと、ぴくんと耳が動く。

コンは濡れた目を見開き、ゆっくりと首を上げて俺の表情を確かめた。


「…ん?おいで…?」


すると…


『…ぅ、うぅ…ぅわぁあぁん!!』


コンは、
その場に小さく小さく座ったまま…、

俺の顔を見つめたまま、

大声で、
泣き叫んでいた。