親友の卓弥にはいつも言われている。




“隆介は怖そうに見えるけど根は優しい”って。





俺は、なぜか水やりを手伝う羽目になった。



何やってんだ、俺って。


まあ、いい。


俺の相棒であるバイクを褒めてくれたから。





ガチャ。



部屋へ足を踏み入れ、ふ~っと息を吐く。





真っ黒な家具に囲まれた部屋。



無造作に脱ぎ捨てられたジャージを蹴っ飛ばし、ベッドへ寝転んだ。






「あ~、もう」





イライラしているのは、きっと自分に違和感を感じているからだ。




本当の自分ではない自分の仮面をかぶって、強がっていきがって生きることに疲れている。





さっき、俺に頭を下げてお礼を言ってくれたおばあさんの笑顔がまぶたの裏に焼きついていた。