―ペット―
美亜との出会いが俺の人生を変えることになるなんて。
気付いてなかったのか、気付いていないフリをしていたのか。
俺は、随分勝手なことばかりして、美亜を振り回しているだろう。
怖いんだ。
美亜が俺から離れるのが。
俺の方が本気になるのが怖かった。
美亜を試したわけじゃないが、俺はひとつひとつの出来事を積み重ねて、安心感を育てていた。
大丈夫、大丈夫。
美亜は俺から離れない……と。
この気持ちが愛とか恋とかじゃないことは、自分でちゃんとおわかっているんだけど。
そこが俺の残酷なところ。
美亜の気持ちに応えてやれないのに、美亜を引き止めてしまう。
