―鈴子の存在―




電話なんてかけてくんなよ。



そう思っても言えない相手。


鈴子。




「何だよ」



『隆介、ハムスター飼わない?』





鈴子の家で飼っていたハムスターが子供を産んで、貰い手を捜しているらしい。




「俺がハムスター飼ってたら、違和感ないか?」



鈴子は、隆介には似合わないよねと笑いながら電話を切った。





もうとっくに吹っ切れている。


そうだ。




鈴子は親友の彼女。


そして、俺の高校時代の野球部のマネージャー。




それだけ。