遠慮がちに、俺にメニューを見せる美亜。
俺はメニューを奪い、ソファにふんぞり返る。
「見れば?」
俺がそう言うと、美亜も同じように背もたれにもたれかかり、メニューを覗き込んだ。
「何食うの?」
「オムライスがいいなぁ」
悔しいけど、俺もオムライスが食いたいと思っていた。
ケーキ屋に来てオムライスを食おうとしている美亜に、親しみを感じてしまっていた。
「こっちにしろよ!俺、どっちも食いたいから」
わがままを言いたいわけじゃない。
とにかく照れる。
だから、冷たい言い方しかできないし、いじわるになってしまう。
“トマトソースのオムライス”と“まるごとトマトオムライス”は全然違う。
その違いをちゃんと理解してくれた美亜。
俺と美亜は、卓弥に“同じじゃん”と言われながら、その2種類のオムライスを半分ずつした。
よく考えてみると、俺にしては珍しいことだ。
女と料理を分け合うなんて。

