―素直な気持ち―




誰かを失うかもしれないっていう恐怖は、自分を臆病にしてしまう。





俺は、大事な母さんを失ってから、できるだけ大事な人を作らないように生きてきた。



失ったときの悲しみを知っているから。






何度も何度も電話をかけて、メールもした。




昔の俺なら、このまま失っていたかもしれない。





大事な人が自分を愛してくれる幸せを知らなかったあの頃なら・・・・・・





俺は、美亜の家の近くの公園に向かう。






迷ってる場合じゃない。



無視されてイライラしたり辛いって思うけど、そんなの俺がいつもしてきたこと。



美亜の電話を無視したり、美亜にあいまいな態度を取ってきたのは俺。






こんな辛さなんて、美亜が感じてきた辛さの半分もねぇんだよな。