隼翔の打ち返したボールが 太陽に消えていく…。 一瞬だけ静かな空気が 流れた。 一度目をつむって大きく 呼吸をする。 「はや兄が打ってくれた〜」 陸の声で我に戻る。 試合終了のブザーが鳴る。 見えた… いや,手に入れたよ。 甲子園の切符。 隼翔の放ったボールは 大きなアーチを描いて ライトスタンドに吸い込まれた。 球場は拍手でいっぱい。 「本日の決勝戦, 桜山高校が3−0で勝ち, 3連続になった甲子園への 切符を手にしました」 アナウンスが聞こえた。