「ありがと~ 真帆ちゃん大好き~」 「早く席に帰ろうっ!!」 あたしたちがスタンドへ 帰ると,桜山が珍しく 1点も取れずに2回表の 守備に入ったところだった。 「めずらしいね」 「三者凡退だったの」 菜緒の声が暗い。 「点がとれないね」 陸が寂しそうに隣で呟く。 今は8回表。 依然0−0が続いてる。 「はや兄ならきっと 打ってくれるよっ」 陸の無邪気な笑顔に あたしも菜緒も自然と 顔が緩む。