唇が重なる前に、彼はあたしから遠退いた。
「…?」
「女子高生相手にヤらねぇよ。」
子供扱いされた。
「他に誰か呼んで、あたしを売りますか?」
「お前、俺よりも真っ黒だな。」
苦笑気味に言う。
そして、バスルームに向かっていった。
「俺、そんな極悪人じゃねぇし。眠ぃんだよ。」
入っていったから、語尾は殆ど聞こえない。
あたしは、溜め息を吐いた。
安堵してる自分がいる。
切り札、と言っても割り切れていなかった。
今更のように思う。
“体で繋がる関係”になるのは嫌だったんだ。
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