蝉の鳴く声が聞こえる度その命の短さを感じる。

けれど…同時にまとわりつく暑さにイライラしてくる。

あたしはもちろん後者の方で、下敷きで自分を扇いでいた。

「暑さで死ぬ事はないなんて、そういう考えが可笑しい。」

隣で語る人間が一人。

「この暑さじゃ、勉強する気さえ起きない。」

…もう一人?

危ない危ない。
シンクロした。

驚いて溜め息を吐くと、なずなはキョトンとした顔でこっちを見てる。

「なんですか。幽霊の次は不登校、その次は人生に疲れたとか言うんですか?」

「言ってない。」