駅に行くのも止めようと思う。 いつもそうだから。 私は望み過ぎると、すぐに無くしてしまうから。 …もう何も失いたくないから。 「あ、なずな。」 渡り廊下を通ると、やはりそこに居た。 「無断欠席先輩さん。」 可愛い猫のように微笑んだなずなは、東金と同じような失礼な事を言ってのけてくれた。 「…元気そうで、なにより。幽霊後輩さん。」 「先輩、幽霊見えるんですか!?」 そんな風に素で驚かれても困る。 なずなはクスクス笑うと窓の方に寄りかかった。 梅雨明けはまだ遠い。