高校二年生に進級した春に、またいつも彼の少し遠くを通り過ぎる。 彼の隣には派手な女の人がいた。 “お客さん”なのかもしれない。 彼女なのかもしれない。 あたしが見ていても、彼は気づきもせず女の人と喋っている。 近づきたい。 その欲求が、体の中を掻き乱す。 名前も年も聞いた事がない。 この広い世界で。