「前に少し聞いたんだけど。」 史佳は口を開いた。 「何?」 と聞く。 「美羽の家って再婚して兄と血繋がってないんだって。」 「…へぇ。」 「前に少しだけ美羽から聞いた話だけど。」 それだけ言うと、史佳は口を噤んだ。 美羽が帰ってきたからかもしれない。 「本当っに腹立つわ。あの泥棒女。」 愚痴を漏らす。 「でもさ?その性悪姉に転がった彼氏も彼氏でしょう。」 あたしは史佳を見る。 ピクリと体を動かした史佳は、こっちを睨んで一言、 「彼氏じゃない。元彼!」 と凄んだ。