苦しい。

恋する乙女…だなんて、純情な事は言わない。

けれど、あたしは鷹宮さんに恋をしてる。

それを実感した。

「別に強要してるもんではないけど。」

なかなか口にしないあたしに苦笑しながら言う。

たかが名前。
されど名前。

「ほら、遅刻。行ってこい女子高、」
「……黒都。」

時間差で口にした言葉は見事に鷹宮さんの言葉と被った。

「そう呼べよ。」

被った事は気にしないみたいで、黒都は笑っている。

その笑顔が見れただけで幸せ。

あたしは今日1日頑張れる気がして、軽いカバンを握りしめた。