金額を出せば誰でも通えるような高校。

特別馬鹿ってわけでもなければ、特別お金持ちってわけでもない。

常に平均を走る高校に、あたしは通っていた。

「おはよう。」

靴箱ですれ違うクラスメートに声をかけられる。

「あ…おはよ。」

名前が分からない。

クラス替えをしたばかりだから、誰が自分の隣に座っているとか、覚えていない。

「扉の前で突っ立つなよ。」

背後から聞こえる声に、反射的にその場を退いた。

あ、この人は知ってる。

この男子こそ、あたしの隣に座る…。

座る…。

「東金(トウガネ)!宿題やってきたか!?」