「城沢四季(シロサワシキ)。」

本名を名乗る。

ふうん、と興味なさそうテレビの方を向く。

気がつけば勝手に口走っていた。

「好きです。」

今日、初めて会話をしたけど。

聞こえなかった、とでも言うように彼は煙草に平然と火をつける。

「…って言っても、あなたは次にあたしに会った時、覚えてはいないんでしょうね?」

それくらいの予想は、最初からついている。

「覚えてねぇな。」

勿論、彼はこっちすら向かない。

こんな告白、日常茶飯事なんだと思う。

彼が突然こっちを向いてきた。

あたしはにっこりと笑いかけた。