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「伊吹、帰るぞ」



フブキお兄ちゃん家でのお姫様生活も終わりを迎え

再び悪魔にこき使われる毎日



教室の後ろのドアから顔を覗かせる涼しげなイケメン生徒会長に、クラスの女子の目は釘付け

対照的にわたしは目を合わせないままアラシ兄に近づいた


「あの……今日はまだ帰れない」


緊張を隠し兄貴に告げる
反応が恐ろしくて顔が見れない


「……何の用事?」


声のトーンが少し変わった

きっと兄貴は微笑んでる


クラスのみんなには仲のいい兄妹に見えるんだろうな


ただし 今のわたしの状況は


蛇に睨まれた蛙 がぴったり



『何の用事?』

わたしには
『お前、俺の下僕以外に大事な用事あるのか?』

って聞こえた気が……