イダズラ好きな少年のように、 「単純だね」なんて言って、 彼の右手にはノートが握られていた。 開かれた、その瞬間 止めようとしたのが、間違いだった。 私は彼の上に乗っかる形で態勢を崩し、 彼の目の上には宙を舞ったノートがバサリと落ちる。 暫くの、沈黙。 漫画のワンシーンかのように、 静止した空気。 「………これって……」 ノートを目元までずり下げ、 彼の胸の辺りに頭を乗せていた私と目を合わせる。 「……歌詞?」 無意識に、頷いていた。