ゆっくりと確実に私に近づく彼。 不思議に思ったのか、 少し眉を寄せて。 「あのっ……」 慌てて口を開く。 でも、その前に倉田瑞季は私の目の前にいて、 握り締める袋を覗き込んだ。 「これはー…プレゼント?」 「…へっ?」 背を屈めて、私に目線を合わせる。 綺麗な彼の顔が、すぐ近くに。 「…じゃなくて…」 すっと、鞄の中から袋を取る。 「マフラー、だよね?」 くすっと笑って、 「大丈夫だよ。」 そう言った。