『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

その研究が成功すれば、例えば、心臓が弱りかけた人には“心臓を移植する”という方法だったが、その弱った心臓を新しく作り替えるという方法になる。


そうする事で、以前の“移植”に在ったとされる“拒否反応”の恐れは無くなる。


例えば、体内に人体に害を及ぼす“ガン”が見付かったなら、そのガン細胞自体に元素レベルで変化を加え、自体に全く影響の無い物質に変える事も出来る。



そして、そんな親父がその研究の第一歩として成功させたのが、今の魔法化学だった。



そんな親父がいつもの様に、俺を連れて自分の研究所で仕事をしていた時の事だった。


俺はいつもの様に親父の仕事が終わるまで研究所の外にある、大きな湖で水に写る自分の顔を見ていた。


すると…


『ねぇ君、僕達の声が聞こえる?』



確かに俺にはそう聞こえた気がした。



俺は、誰か居るのかと思い、辺りを見渡したが、俺の周りには人はおろか、動物一匹すら見当たらなかった。



俺は首を傾げながら“きのせい”だと思う事にした。


すると、再び同じ声で俺にこう聞こえた。



『こっちだよ君の前。』

『ん?…誰?…誰か居るの』



俺は再び辺りを見渡したが、やはり誰も居なかった。

その時。俺は足を滑らせ、湖に落ちてしまった。



『誰か〜』


“ブクブク…ブクブク”


『だずげで…』


“ブクブクブクブク”


『おどうさーん…』



当時の俺は泳ぐ事が出来ず、誰かに助けを求める事しか出来なかった。


俺は必死に叫んだ。


力一杯両腕と両足をバタつかせながら、沈みかけた顔を水面から出し、叫び続けた。



『おどうさーん…だずげで…』


『おどうさーん。』



だが、そんな俺の努力も虚しく、俺は湖の底へと沈んで行った。