『いゃ〜だからっ…その〜…』



しかし、そんな安心もつかの間、ローさんはジャンヌにとんでもない事を言い出しました。



『“俺はこの時代の人間じゃ無い遠い未来から来たから、お前が知る訳無い”じゃ無いのか?』


『え…』


『お前、何でそんな事が解るんだよ』


『お前まさか…“人の心が読める”のか?』


『さぁ〜ねぇ〜』


『まぁ、今はまだ“時”じゃねぇよ』


『“いずれ”その時が来たらお前にも話すよ』


『それとなぁ〜…俺が必ずお前を未来に送り届けてやる』


『だから安心しろ』


『それと…“あっちの方のジャンヌちゃん”を頼むな』



そう言いながら、木に寄り掛かって眠る14世紀のジャンヌを指差しながらローさんは言いました。


すると、ジャンヌに背を向け、振り返る事無く、手を振りながらローさんは森の中へと姿を消した。


そして、ゆっくりと姿を消して行くローさんを見届けたジャンヌは、疲れたのか、眠り込むもう一人のジャンヌの横で、一緒に眠り始めました。



その一部始終を見ていた私達は疑問と驚きでいっぱいでした。


そんな私にミカエル先生が言いました。


『ヤバイなぁ…』


『ヤバイって何がですか?』


『いや、今のローって奴さ…』


『何故アイツは、ジャンヌちゃんが未来から来てる事を知ってるんだ?』


『それに、あの盗賊達…』

『歴史上で神の声を聞いたジャンヌが“森で盗賊に襲われる”なんて聞いた事無いぞ?』


『それって…まさか…』


『あぁそのまさかだ…』

『“歴史が変わりつつある”かも知れない…』


『第一、あんな大勢の盗賊を一人で追っ払うなんて、とても人間業とは思えない。』



ミカエル先生は深刻な顔でそう言いました。



『考え過ぎじゃ無いですか?』


『いや、僕は一度研究所に戻るよ、そして一刻も速くジャンヌちゃんを連れ戻す』


『じゃないと、歴史が変わり過ぎたらジャンヌちゃんを救うどころじゃ無くなってしまう。』



そう言い残して、ミカエル先生は学校を跡にしました。