『何故ですか?』


『私達が神から伝えられた使命は悪までも、お前にシャルル6世の意思、神の御意思を伝える事だからだ。』


『解りました。では、何としてもそのローベル・ド・ボードリクールさんを捜しだし、この出来事を伝えます。』


『健闘を祈る…』



“やっと終わった”という表情のミカエル先生。


すると、14世紀のジャンヌが未来のジャンヌを見ながら、ミカエル先生にこんな事を聞き始めました。



『あ、あと…こちらのジャンヌさんは…』



すると、ミカエル先生は14世紀のジャンヌにこう言いました。



『その者の事は、私達に任せて貰おう。』


『お前は、もう帰って良い。』


『はい。』



そして、ミカエル先生と14世紀のジャンヌとの会話が終わり、14世紀のジャンヌが、未来のジャンヌの方を見て、何かを話して居ました。


残念ながら、私達の所まで届く程の声では無かったので、私達にはそれを聞き取る事は出来なかったのですが、しばらくして14世紀のジャンヌと未来のジャンヌが握手を交わし、14世紀のジャンヌは私達の前から姿を消そうと、一人森の方へと進んで行きました。



そして、そんな14世紀のジャンヌの姿を見たミカエル先生は最後にそのジャンヌにこう言いました。



『では、行くが良い“神に選ばれし者”ジャンヌ・ダルクよ


『はい。』



そして、そのミカエル先生の言葉に応えたジャンヌは一人静かに、森の中へと消えて行きました。



その14世紀のジャンヌの
背中は、未来のジャンヌに比べれば、小さく、女の子らしい背中では有りましたが、それでも私の目には逞しく、頼りがいの有りそうな背中に見えました。



(あの人はきっとこれから自分の命を賭けて、大切な国を守って行くんだろうな。)


(あの人が居たからこそ今の私達の世界が在るのかも知れない。)



そう思うと、私は自然と、その森へと消えて行くジャンヌを応援する気持ちになりました。



(頑張ってね。ジャンヌ。)

(そして…“ありがとう”ジャンヌ。)


(なぜなら、私達は貴女のお陰で今の世界を生きて居られるのだから…)