『しかし、そのトロワ条約を結んだシャルル6世とて好きでそんな条約を結んだ訳では無い。』


『100年にも渡る争いに終止符を撃つ為、下らない争いの為に命を落とす国民達を思う気持ちが、彼を動かし、シャルル6世は、その条約に同意したのだ。』


『その時のシャルル6世の気持ちは当然複雑な心境だっただろう…』


『“大勢の国民の命”と“大切な我が子”を天秤に掛けたのだからな。』


『しかし、そんなシャルル6世も、死んだ後、天の国から現世を見て、自分亡き後の我が子達を見て、やはり“結ぶべきではなかった”と悟ったのだろうな。』

『そして、シャルル6世は我等が偉大なる神との最後の審判で、その事を神に告げたのだ。』


『そして、慈悲深き我等が神は、生前のシャルル6世の功績を認め、その訴えを聞き入れる事になされた。』


『そして、神の出した答えとは、シャルル6世の息子をランスへ連れて行き、戴冠式を受けさせると言うものだ。』


『はい。偉大なる神様のご指示なら私は、そのご指示に従います。』


『しかしながら、実際私はこれから自分が、“何をしたらよいのか”“何をすべきなのか”が全く解りません。』


『それなら心配はいらない。お前は、これからヴォークルールの守備隊長“ローベル・ド・ボードリクール”の元へ向かうのだ。』


『そして、今、私から聞いた事を話し、何としてもシャルル7世をランスへ連れて行き、戴冠式を受けさせるのだ。』


『良いな?』


『はい。』


『ヴォークルールの守備隊長…“ローベル・ド・ボードリクール”さん…ですか…』


『あ、あの…その方は、何処にいらっしゃるのですか?』


『それを、教える事は出来ない。』