『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

―学校の教室―


俺は今、学校の教室で自分の席に付き、楽しくも無い歴史の授業を受けている真っ最中である。


教科書を開いてはいるが、顔を机に伏せ、今にも寝そうな勢いの俺の耳に、先生の声が聴こえて来た。



『―えぇ、したがって、この14世紀のフランスで、数々の功績を残したジャンヌ・ダルクでは有りましたが。』


『西暦1430年の、5月23日にブルゴーニュ軍に捕らえられ、翌年の西暦1431年の2月21日に、神の声を聞いた“異端者”と扱われルーアンにて“異端裁判”が始まりジャンヌは“異端裁判”を受ける事に成ります。』


『そして、異端裁判の結果、“火刑”に処される筈のジャンヌでしたが、彼女は裁判の途中で、自分が“異端である事”を認め、極刑である“火刑”を免れ―』


『………』


カツッカツッカツッ…


俺の耳に届いて居た先生の言葉が、突然途切れ、教室は静まり返り、俺の耳に一つの足音が聴こえ始めた。

俺は、伏せていた顔を少し机から離し、教室を見ようとした。



『ん?…』


すると、顔を上げたら、俺の目の前に先生が不機嫌そうなツラをして立っているのが目に入った。


『“ん?”じゃ無いだろうが?』


『君は、歴史の授業を何だと思ってるんだ』


そう先生が言ってきたので、俺は自分の意見を先生に返した。


『あのさぁ、“歴史”“歴史”って言うけど、今更そんな大昔の事を勉強して“何になる”訳…』


『第一、俺達が習ってるこの歴史だって後からいくらでも、作り替える事が出来る訳だろ?』


『つまり、俺達が習ってる歴史が“本当に正しい”って何で言い切れる訳』


『まぁ、俺達や他の誰かが“本当に過去に行って見てきた歴史”ってなら話しは別だけど?』