俺が、そうお気楽に話していたが、誰ひとりとして“すぐに帰れる”とは言わなかった。



『あ、あれ?』


『だって、来られない筈の過去に来ちまった俺を見付けて、通信が出来てるって事は、そっちとこっちが繋がってるって事だろう?』

『って事は、すぐにそっちに戻れるんだろう?』



俺が、そんな事を言ったら、とても気まずそうな口調で、カトリーヌが言った。


『そ、その事なんだけど…実は…』


『ん?…』



すると、そんなカトリーヌを見兼ねたかの様に、今度は、ミカエルが話して来た。



『続きは、僕が話すよ』

『あぁ。ミカエルか』


『単刀直入に言おう…今現在の状況だと、君はその時代から、帰って来れそうに無いんだ。』



俺は、ミカエルから“帰れない”事を聞き、つい剥きになってこう言った。



『えなんでだよだって通信だって―』



すると、剥きになった俺を静める様な口調で、こう言って来た。



『良いかい?ジャンヌちゃん良く聞いて。』


『ん…』


『今、君が居るのは、間違いなく14世紀のフランスだ。』


『そして、そこは、僕達、時間学の研究員達の中では、決して“行ける筈の無い場所”なんだ。』


『だから、今現在、君が何故14世紀へと行けたのかが全く解らないんだ。』


『それに、君がさっき言った“この通信”自体も、何故繋がるのか解らない。』

『しかし、通信状況は初めに比べると悪化する一方だし。』


『もしかしたら、“今”この会話の途中で、通信が途絶えるかもしれない。』


『だから、いつ通信が途絶えても平気な様に、最初に言っておくね。』