―ワームホール内―


俺が辺りを見渡すと、真っ暗な闇が広がっていた…



『あれ?可笑しいなぁ?…』


(確か…前に、ミカエルや研究所の人達と未来に行った時は、ワームホールに入って“一瞬”で出口だったんだけどなぁ?)



俺はその暗闇の中を少し歩き、思い当たる奴の名前を呼んだ。



『お〜いミカエル〜』

『お〜いカトリーヌ』

『お〜いマルグリットエドワード〜』


『みんな何処だ〜?…』



俺の視界には、ただの“闇”しか無く、自分の手すら見えない程の闇…


俺の耳には誰の声も聞こえず、俺の足音すらも聞こえ無い…


俺がみんなを呼んだ声ですら、ちゃんと出ているのかすら分からない…


ただの“闇”…


しかし、俺は歩いている?…


“歩ける”と言う事は、“床”は有る?…


ただそこに床が有るのかすら確認出来ない…



『お〜い…』



俺の叫び声も虚しく、俺の叫びへの答えは俺に帰って来る事は無かった…



“…………”


“…………”



“何も聞こえず”…


“何も見えず”…



俺は…これからどうなるのか?…


俺は…これからどうすれば良いのか…


分からない…


分からない…


俺は今、自分が置かれている状況の何一つとして理解出来ないで居た。


そして“今”俺がこの暗闇に来て、どれ程の“時間”が経過したのだろう?…


そもそも、俺が今居るこの暗闇に“時間”と言う物が存在するのかすらも分からない…


俺は、どうする事も出来ずただその場に立ち尽くすしか無かった…



しかし



そんな俺が暗闇の中で唯一出来ていた“立つ事”すらも出来ない状況に陥った。


俺の立っていた筈の“床であろう”俺の足元は、突然穴が空いたかの様に無くなったのだ


俺は“立つ事”すら出来なく成った…