『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

それを聞いて、驚いた表情の俺に、ローは更にこう言った。



『アイツは、親父の…前フランス国王の忘れ形見で、俺の大切な弟だ。』


『俺はアイツをフランス国王の座に就かせる為に。今、国中を回り色々頑張ってるって訳さ』


『そう言う事だったのか。』


『でも…何で偽名なんか?』


『考えても見ろよ。仮にも一国の国王が、自由に王宮や他の王族、貴族達の住む場所から抜け出し、こんな孤児達の集まる村になんて出入り出来ないんだぜ?』

『俺はよ〜。アイツの…シャルルの教育係として、アイツの兄として、アイツに“国の上”しか見れない様な王にはなって欲しくはねぇんだ。』


『自分達の家を作り、自分達で畑を耕し、野菜を育てる。』


『そんなごく有り触れた、誰でもやる事をやらせて、シャルルを一人の国民として、一人の人間としてこの国の王にしたいんだ。』


『アイツにはこの国の全てを知って貰いたい。上も下も、綺麗な所も汚い所もな…』


(“上も下も”っか…)



俺はローの話しを聞き、そう思い、ローにこう言った。



『ロー。良い言葉を教えてやるよ』


『良い言葉?なんだい?』

『“天は人の上に人を創らず”…』


『これはなぁ俺の住む時代の人々の中で伝わる“諺”ってやつでさぁ。意味はっ―』



俺がそうその言葉の意味を説明し始めた時、ローは突然こう言い始めた。


『“人は皆、平等”…“同じ人間同士に上も下も無い”…っか…』


『え?な〜んだ。この時代にはもう使われてたのかよ〜。』


『いや、そんな言葉、聞いた事も無いよ。まぁ、今のこのフランスじゃあ“まだ”不釣り合いの言葉だな。』


『しかし、これは俺の目指す世界そのものを表した言葉に聞こえるよ…』