『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

『確かに君はここに来てこの3年間で目まぐるしい程に剣の腕を上げた。』


『………』


『さっき私が放ったあの最初の一撃…アレは正に3年前の君が敗れた時と同じレベルの力だ。』


『ん』


(3年前は確か…俺の後ろに回り込んだはず…)


『私はねぇ。剣士には後ろから回り込む様な真似はしないんだ。』


『………』


“カキンカキンカキン”


『あの頃の君は、人に怯え、人を拒み、剣を握るだけのただの剣客…』


『しかし今は違う。』


『人を信じ…人を愛し剣を振るう立派な剣士だ。』


『だから今は、君から“様”を取って呼んでいる。』


『………』


“カキンカキンカキン”


『今の君は私にとって、ただの護るだけの主君ではなく、共に戦う戦友として、君を“対等な剣士”として認めたんだ』


『』


『使用人達が何を話していたかなど、私は知らない…』


『貴族達が君をどんな目で見ていたかなど、私は知らない…』


『王族の方々が何を考えていたかなど、私は知らない…』


『しかし、君は真相も確かめずに、ただの噂話しを鵜呑みにしてここを立ち去るのか』


『君は、あの国王様より…君の父上よりも、あの通り過がりの使用人達の方を信じると言うのか』


『はっ―』


“カキーーン”


“ヒューー”


“ドスッ”



俺の剣は俺の手から弾かれ、再び俺の後ろに突き刺さった。



“カチャッ”



ロベールは剣を鞘にしまうと、俺の肩に手を乗せ、こう言った。



『ロー。良く聞け。人生と言うものは、迷路の様なものだ。』


『“迷路”?』


『そうだ…ただし、その迷路の壁を作るのは他人じゃない…自分なんだ。』