『そう俺はさぁ。まだやってもいない事を頭ごなしに叱るのが嫌いなんだよ。』


『例えば、ここの子供達の内の誰かが盗みをしようと考えて居るとする。』


『勿論、盗み自体はいけない事だ。しかし、何故やっては行けないのか。』


『あるいは、それを行った後、どうなるのか。』


『それを、コイツ等にも分からせないと、何故盗みは行けないのかと言うその事の“本質”までは教えられないと思うんだ。』


『でもそれって―』



俺がローに反論をしようとした矢先、ローは俺にこう切り替えして来た。



『勿論、それでその盗みを誰かに見付かったとしたら全ての罪は俺が背負うつもりだ』


『え?』


『悪い事をしたら、当然、罰はついて来る。そして、その罰を受けるのは、親である俺の責任だと俺は思う。』


『しかし、今話した事は全てただの例え話しに過ぎない。』


『俺は最初っから、コイツ等に“そんな事をしたい”なんて思わせない自信がある』


『例えコイツ等が人殺しをしようが、盗みをしようが、俺はコイツ等の尻なら幾らでも拭ってやる…それを犯したのが本当にコイツ等ならな』


『………』


『善いんじゃねぇか?“親”なんて…そんぐらいしかしてやれる事はねぇだろ?』


『しかし、どんなに悪条件でも…例え残り1%でもコイツ等がやってないって言う可能性がある限りは、俺は全力でコイツ等を信じてるけどな』


『ゴメン。ちょっと臭かったかなぁ〜』


『いや。…“善い事”聞かせて貰ったよ』



『あれ?…何かジャンヌちゃんがいつもより素直だぁ〜』



俺はそのローの言葉に対し、ローの頭を一発殴ってこう言った。



“バコーン”


『いっ痛ぇ…』


『俺はいつも素直なんだよ』