―ユリウス歴1425年―


―フランス・JJI―



JJIにローを狙って来た男も去り、俺は、JJIに住む子供達と夕食の準備をしていた。


JJIの中は数々の家の残骸があり、村の子供達はその中の1つの大きな家で皆で生活をしているらしい。


そして、夕食も当然JJIの子供達が自分達で準備をするのが習慣らしい。



『よ〜しんじゃ今日は皆の新しいママの歓迎会と、アーサーのお見送り会を開きたいと思う』



ローが子供達全員を一つの場所に集め、大声でそう言った。



『は〜い』



そんなローの言葉に一斉に答える子供達。


するとローは子供達に合図を出した。



『んじゃ〜。各自自分の持ち場の報酬の山分けだぁ〜』


『はいこれ僕のトマト』


『これ私のジャガ芋〜』

『これは、今朝取れた卵ね』


『僕のりんごも〜』



ローの言葉を合図に次から次へと、食料をテーブルの上に乗せにくる子供達。


それを見た俺は小さな声でローにこう聞いた。



『なぁ〜ロー?…まさかとは思うけど、この子達が持って来る食い物って…』


『え?食料の事?…』


『そりゃあ勿論、この村で子供達が育ててる野菜や飼育してる鳥達の卵だよ』

『あ〜善かった…』



そのローの言葉を聞いてホッとした俺は、一人でそう呟いた。



『え?“善かった”って何が?』


(いや…流石に、ローがローだからなぁ…“これ何処かから盗んできたのかと”…)



そんな本心をローに言える訳も無く、俺はごまかす様に、ローにこう言った。



『あ、あ〜あ…その〜。取れたてで新鮮な野菜で善かったなぁって…ハハッ…』



『そっか俺はさぁ、ここに居る子供達には、自分で出来る事ややって見たい事は何でもやらせる事にしてんだ』


『善い事も悪い事もな』

『“善い事も悪い事も”?』