男は、腕を抑えながら慌ててその場から逃げ出した。

そして、ローはその男が落として行った剣を拾い、俺の方に振り返り、その剣を俺に投げた。



『ジャンヌちゃ〜んプレゼントだよ〜善い物拾っちゃった〜』


“ヒューー”


『うわぁぁ〜』


“ドスッ”



ローの投げた剣は、間一髪で俺の目の前の地面に突き刺さった。



『あ、あぶねぇだろうがコラァ』


『え“ありがとう”だなんて〜。水臭いなぁ〜。俺とジャンヌちゃんの仲じゃないか〜』



ローが笑顔で俺にそう言った。



『ったく〜。どんな耳してんだよアイツは…』



俺はそう小声で呟くと、ローが、自分の耳を引っ張りながら俺にこう言った。



『え?こんな耳だけど』

『聞こえてんのかよ』


(ったく…真面目なんだか、不真面目なんだか…イマイチ分かり辛いなぁ〜…ローって…)



すると、俺がそんな事を考えて居ると、さっきまで人質になって居た女の子が、ローに抱き着いていた。



『パパ〜〜。』


『おおぅ〜リーシャ無事だったか?何処か痛い所は無いか?』


『うん。大丈夫。でも怖かったよ〜。』


『そうか、そうかよしよし。』


『でもね、パパなら絶対ぜぇ〜ったい、助けてくれるって思ってたから、リーシャ、全然平気だよ』


『おうそうかそうか偉いぞ流石パパの子だ』

『うん』


(ま、それがコイツの“善い所”なのか?…)


『よ〜しじゃあリーシャ、皆の所まで競争な』


『うん』


『よ〜い。ドン』


“ダッダダダダダダダ”


『パパ待ってぇ〜』


『遅いぞ〜リーシャ速く来いよ〜。それとジャンヌちゃんも速く来いよ〜。』

『あぁ。』


(ってか、この競争俺も入ってたのかよ)


『待てよおい、コラズリィぞロー』