『Badend Story〜2人のジャンヌ・ダルク〜』(歴史ダークファンタジー)

マーリンの声が消え、俺は部屋の中心に横たわる剣の前まで歩き、喉を鳴らしながら、剣を見つめた。


『ハァ…ハァ…ハァ…』


“ガシッ”


“ギュッ”



俺は剣に触れ、その剣を力強く握った。



『うっ』


“ギギ”


“ギャシャーン”


“ジャキッ”



その剣は、今までに俺が見てきたどの剣よりも大きく、どの剣よりも重かった。

俺はその剣の重み故に、両手で持っても、剣先を引きずる程だった。



『こ、この剣…重い…』


“ギギギギィィ”


“ガラガラ”“ガラガラ”

『それにしても…何でこの剣…こんなに馬鹿デカイんだ?』


『しかも、大き過ぎるから重くて引きずるのがやっとだぜ。』


『剣の長さも長げぇし…剣の太さだって桁違いだ。』

『これじゃ剣って言うより、盾だぜ?こりゃ。』


(ん?“盾”…)



俺は独り言を呟きながら自分自身の言葉からロベールの言葉を思い出した。



(“剣というのは、その一振りで人一人の運命を左右します。”)


(“剣とは、たった一振りで人の命を守る事ができます。”)


(“だから剣はあんなにも硬いんです。誰かを…大切な人を守る盾の様に。”)


(“しかし、それと同じ様にたった一振りで人の命を奪う物でもあります。”)


(“だから剣は、あんなにも重いんです。自分が背負う人の…自分が斬る人の命の重みの様に。”)


(剣の重み?…もしロベールのあの言葉通りなら…)

(この剣は一体…これまでにどれ程の人を背負ってきたんだ?…)


(そしてこの剣は今までに、一体…何人もの人の命を奪ってきたんだ?…)


“ゾクッ―”



俺はこの剣が何人の人を殺したのかと考えた時、俺の背筋が凍り付いた。