『では、私はどうしたら善いのか?…』


『それが全く分からないのだよ。』


『国王が聞いて呆れる。国は疎か、国にすむ子供一人の幸せすら守れはしない。』


『私は結局、一人の人間に過ぎんのだよ。』


“カチャン”


“ギギギギィー”


『へ、陛下何を』



シャルルはロベールの持っている剣の柄を持ち、剣を鞘から抜いた。



“ガシャーン”



するとそのロベールの剣を俺のすぐ目の前に転がした。



『その剣で私を殺せ。』


『ん』


『陛下』


『善いんだ。これで…』


『こんなくだらない争いの犠牲となった国の人々全員の命を償うなど私には出来ん。』


『私一人死んだところで、それら全てを賄おうとは思ってはおらん。』


『だから私は罪を償う為で無く、今から言う私の最後の頼み事の代償として私は私の命を君に渡す。』


『………?』


『頼む。どうか私を殺してくれそして君が君がこれから新しいこの国の王になってくれ』


『陛下何をおっしゃるのですか』


『さっきも言ったが、私や今の王族や貴族達が新しい王になったところで、国を知らぬ者達がこの国のトップに立ったところで何も変わりはしない。』


『なら、国を知り、失う辛さを知り、生き抜く術を知る君に王になって貰いたいのだ。』


『ロベール。主には私の最期を看取って貰い、私の遺言の証人になって貰いたい。』


『私の最後のわがままだ。どうか聞き入れて貰いたい。』



“ガチャン”


“ギュッ”



俺はシャルルの投げた剣を掴み、震えながら両手で剣を構えた。



『…陛下の御意思とあれば…私は従います。』



ロベールは忠実にシャルルの意に従い、俺とシャルルから少し離れ俺がシャルルを斬るところを見届けていた。


そして俺は、その震えた両手で、剣を大きく振りかぶり、一気にシャルル目掛けて振り下ろした。



『うぉぉぉ』