“ブーン”


“ブォン”“ブォン”


“ブーン”


“スーッ”…


『ハッ』


“バキーン”


“カランカラン”



ハイドの剣を避けたと同時に、ロベールは剣では無く、素手でハイドの剣を殴り、ハイドの剣を真っ二つに折って見せた。



『分かるかい?これが私と君、上と下の差だ。』


『君程度の剣客なら私は剣など使わ無くても勝てる。』


『諦めて私に捕まりなさい。』


『畜生』


“ガッシ”


“カラン”


『おら』


“ヒューッ”



ハイドはさっき袋に入れるか迷っていたガラスの瓶を手に取り、宙に放り投げた。


『何』


これには流石のロベールも驚きの表情を見せた。


ロベールはハイドがその花瓶を自分に向けて投げ付けて来ると思い、横に避けたつもりだったが、花瓶はロベールの予想とは裏腹に、ハイド自信の真上へを飛んでいた。


にやけるハイドの表情。


その時。


ハイド目掛けて落ちて来る花瓶の落下地点からハイドは一歩後ろに下がり、花瓶がハイドの頭上付近に差し掛かったのを確認した次の瞬間。


ハイドは両目を閉じて落ちて来る花瓶目掛けて力いっぱい折れた剣を振り下ろした。



“ヒュー”…


“ブォーン”


“パキパキッパリーン”



そしてハイドが振り下ろした剣の衝撃でガラスで出来た花瓶は粉々に割れ、近くに居たロベールにもそのガラスの破片は飛び散った。

咄嗟に片手で自分の目や顔を隠し、ガラスから身を守ったロベールだったが、ロベールが腕を顔から話すと、ハイドの姿は無かった。


『まさか、この私を焦らすとは…でもやっぱり発想は子供の悪戯だな。』


『将来が楽しみだ』



ハイドは二人の集合場所まで急いで逃げた。



“ダッダダダ”


“ダッダダダ”



この時初めて、ハイドは自分より遥か上の実力を持つ剣客と出会い、自分の未熟さを思い知った。