するとそんな俺を不審がりながらハイドは言った。



『ロー…お前、何探してるんだ?』


『何って―』


『もうその袋の中には何も入って無ねぇぞ?』



確かにハイドの言う通り、袋の中は物けの殻だった。

それを見た俺はハイドに聞いた。



『なぁ?ハイド…“飯”は?』


『え?飯?んなもんはお前が取って来ると思ったから持って来てねぇよ』


『え?………』


『お前俺達の暗黙の掟が有るだろ?』


『取って来るのは俺達が生きる為の“最小限”の物しか取らないって』


『そんなに食い物ばっかり取ってきても捨てたら勿体ないだろ?』



そう言ったハイドの言葉に目を丸くしながら、耳を疑う俺。



『最小限?…これが?』


『ああ』


『飯は?』


『だから、お前とダブると無駄になるから取って来なかった。』


『………』


『肉ぅ〜〜〜〜〜。』


『俺の肉は?俺のパンは?俺の卵は』


『いゃ〜ローが失敗さえしなけりゃ言うこと無しだったんだけどなぁ』


“グゥ〜〜〜〜”


“グゥ〜グギュルル〜”



俺とハイドの腹の音が虚しく鳴り響いた。



『俺、さっきの空き家にもう一度行ってくる』


『やめろってもう辺りも暗いし、夜は危険過ぎる。』


『今日はこれで我慢しようぜ?』



俺はハイドに2つのパンを見せながらそう言った。



『あれ?ロー…お前さっき、狩りに失敗したって―』

『ああ…こ、これか?これなぁお前が持って来た袋の中に紛れて入ってたぞ』


俺はハイドにそう言いながら、ハイドにパンを一つ渡した。



『しゃ〜ねぇなぁ…今日はこれで我慢するか』


『だな』



『また明日、食い物一杯食えば善いじゃん』



そしてパンを食った後、俺達は眠りに着いた。