夢とは断片的に映し出される…


俺の見ているこの光景も例外では無かった。


さっきまで見ていた俺の3歳の頃の光景はそこで終わり、次に俺の目の前に映し出された映像は俺が3歳の頃から2年位経った、俺が5歳の頃の光景だった…


この頃にはもう俺が水達と会話出来る事が化学的に証明され、そんな水と会話出来る俺が、親父達“元素研究家”達には必要不可欠な存在になっていた。


そんなある日。俺は一人、親父の研究所の中庭の湖の前でいつも通り水達と喋って親父の仕事が終るのを待って居た。


俺の目に映る物…それは…

沈みかけている夕日…


それを写し出し、夕日色に染まる湖…


そして、俺の背後に忍び寄る“あの男”の影だった。


“ジャリ、ジャリ”


“カツ、カツ…”



(それでさぁカトリーヌがさぁ―)



俺が水達と心で話して居た途中、俺の耳に、背後から誰かの足音が聞こえ始めた。


そして、その足音と共に水達が不思議な事を言い出した。



『ジャンヌ…怖いよ…ジャンヌ…』


(どうしたんだ?息なり。)

『ヤバいよ…どうしよう悪魔が…“悪魔”がこっちに来る』


(え“悪魔”)


『………?』



“カツッ”



俺の背後に忍び寄る影と、俺に近付く足音がなりやみ、気が付くと水達の声も静まり返り、嫌な予感がした俺。


そして、俺は恐る恐る後ろを振り返る事にした。