「気にしなくて良かったのに。ありがとう」 そう言って受け取ってくれた彼に、私ははにかんだ。 彼とバスに乗り、同じ場所に降りる。 同じバスに乗っても、同じ場所に降りるのは初めて。 ちょっとした違いに緊張した。 何より彼が私の隣に座っていたのだ。 緊張するなというのには無理がある。 彼は、何も思わなかったのだろうか。