【短編】ウラハラ



「お返し、食べる?」

柏木さんはキャンディの包み紙を私の顔の前で見せた。

「…普通に、下さい」

そう言うと柏木さんは小さく笑う。

だってまだなんだか喉がゴロゴロする。
私は軽く咳払いした。

「まだ喉、変?」

いつの間にか背中に回されてた柏木さんの手が、ゆっくりと私の身体を撫でる。

そういえば、なにこの体勢!?

今更気付いて身体を離そうとしたら、逆に抱き寄せられた。


「メ、メイクがついちゃう」

「いいよ。今はこうしてたい」


私と柏木さんを隔てる薄いシャツ。
遠慮がちに身を委ねると、柏木さんの心臓の音が聞こえた。


柏木さんもドキドキしてるんだ。


腕の温もりに、緊張しながらも私の顔に笑みが浮かぶ。