エンジンのかかる音に私の頭は急にクリアになった。 置いていかれる! そう思った時にはもう、運転席の窓に思わず飛びついていた。 柏木さんは車の中から少し目を丸くして私を見ていた。 しばらくして、窓がスッと開く。 「決まった?」 「………車の中で、言います」