「・・・なに、言ってるの?」 沈黙の後に絞りだせたのは、やけに頼りない一言だった。 ハルは笑ったままだ。 緩めたネクタイとシャツの中に、シルバーのネックレスが揺れた。 「離して」 「嫌だ、って言ったら?」 ハルは手を離そうとしない。 私が少し力を込めると、その手はするりと離れた。 私は立ち上がった。 無言のままスカートの埃をはたいていると、遠くで屋上のドアが開く音がした。