池谷くんとの勉強会が始まって、約二週間。


今ではお決まりとなっている図書館の壁側の席に座ると、あたしはすぐさま数学と科学の教科書を取り出す。


池谷くんと先生による勉強会が始まって分かったこと。


それは、理系の教科がとことん出来ないということだった。先生によると、文系の教科は心配するほどでもないらしい。




「今日はこの間の復習と、テスト範囲の確認だな。柚、とりあえずこの問題解いてみて」



「うん……!」




あたしはシャーペンを握り、池谷くんに指定された問題を丁寧に解いていく。


素早く解くことはまだ出来ないけれど、それでも正解することが増えた。


それは間違いなく……仕事終わりに根気強くあたしの勉強に付き合ってくれる、先生がいるからだと思う。


先生は、教え方がすごく上手くて、生きてきて初めて勉強が楽しいかもと思えるようになった。



勉強をするきっかけをくれたのは池谷くんだけど、頑張れているのは、誰でもない、先生のおかげだよ。




.