視界に入った絵梨にゃんは、何故か完全に呆れて果てた表情を浮かべていた。


なにかしたっけ?と思い返すけど、思い当たる節がひとつもない。




「な、なんでしょうか……」



「柚、最近勉強頑張ってるのは分かるけど……。どうしたの、その恰好」



「へ?」




そう指摘されて、自分の格好を見てみるけど、おかしな部分なんてなかった。


ちゃんと制服を着ているし、靴が脱げているなんてこともない。


なにがおかしいんだろう。




「いや、服とかじゃなくて、その眼鏡のことよ!!」



「あ、眼鏡ね!そうそう!聞いてよ絵梨にゃん!」




絵梨にゃんが指摘した眼鏡とは、あたしが先生に勉強を教えてくれるようになった、翌日に用意したもの。


先生のように頭がよくなりたい!という願いを込めて、先生が掛けていたノンフレームの眼鏡と似た形を購入し、学校に付けてきている。


ふたりだけのお揃いの眼鏡みたいで、嬉しくなるし、勉強もはかどるし、一石二鳥だよね、うん。




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