口をあんぐり開けていると、ノンフレーム眼鏡の先生はこめかみを押さえて、目を瞑っていた。


……というよりかは、あたしに対して呆れているようにも見えるけど。




「先生!なんでここにいるんですか……?」



「お前、どんだけ頭の中がお花畑なんだよ。目をキラキラさせながら、口を開けて俺を見るな」



「え、そんなことしてたんですか?」



「ああ。まったく色気ないけどな」




ガーンという効果音が、あたしの心情にはお似合いだろう。悲しい、単純に。


落ち込んでいるあたしの様子を気にすることもなく、先生はどんどんあたしの部屋の中に入ってきて、開いている数学の問題集を手に取った。


ページをペラペラ捲っている先生。


久々に勉強でもしたくなったのかな?




「ふーん。高校生の数学ってこんなことやってんだな。懐かしいな」




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