「お前、一人で勉強できんの?」
「出来るよ、お母さん。だってあたし、池谷くんにスパルタな勉強を受けてきたんだよ?」
そう答えたところで、思考が停止する。
……待てよ。
お母さんの声にしては低すぎるし、あたしの細胞を蝕んでいくような、この落ち着いたボイスって……。
一息吸って、ガチャッという音と共に開いたドアの方に視線を移すと、
「って、えええっ……!?」
「大きい声出すな。近所迷惑だろ」
何故か、先生があたしの部屋を覗いていた。
お風呂上がりの先生は、ネイビーのスウェットに、仕事中でもしていない、ノンフレームの眼鏡を掛けていた。
……す、ステキすぎる!
悩殺モノです、それ。
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