あれから、先生の後にお風呂に入り、あたしの部屋へと戻ってきた。
お父さんとお母さんの気持ちを無駄にしないためにも、勉強机へと向かい、数学の問題集を取り出す。
池谷くんだって、自分の時間を無駄にして、あたしに根気強く勉強を教えてくれているんだと思うと、なんだか申し訳なく思えてきたし。
あたしに出来ることを、コツコツと、前向きに頑張るんだ。
「よし!柚希!やるぞ!!」
腕まくりをして、問題集を開こうとすると。
……コンコンという、ノック音が耳に入ってきた。
お母さんかな?
「はーい、何ー?お母さん!」
ノックをした人は、お母さんだと信じて疑わなかったあたしは、問題集と向き合うことをやめずに、返事をする。
お目当ての範囲が目に留まり、シャープペンシルを握ろうとした、その時。
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